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もっと知りたいジャンルのこと【EDM編】 〜TJOにインタビュー!〜

EDM”という言葉はよく聞くけれど、それが何なのかいまいちわからない……という人も多いハズ。そこで、PARTY CHANNELでは人気DJにそのサウンドの正体についてインタビュー! 今回は現場稼働率は日本でも随一、国内外を飛び回り大活躍中のTJOに直撃。
そもそもEDMとは? から、進化するEDMの中で生まれたサブジャンル、そして今旬のサウンドなどいろいろと聞いてみた。まずはその前に……2018年の振り返りから。

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過渡期を迎えた2018年、DJにも様々な変化が

国内外を飛び回り大活躍中のTJO

——まずは2018年を振り返ってみて、どんな印象でしたか?
TJO:「大変な年でしたね……。楽しかったことやエキサイティングなことがありつつも、シーンの様子が変わってきて、いろいろ考えさせられました」

——どう変わってきたのでしょう?
TJO:「数年前から感じていたことではあるんですが、EDMのムーブメントがひと段落し、新たなフェーズに移っていることをより一層実感しました。いろいろと精査される時期にきていると思います。DJもその在り方が問われているというか、確実に過渡期ですね。DJも曲を作ったり、メディアになったり、あとはキュレーション力を高め、発信力のある存在になるか、そういった+αがないと厳しくなっていくんじゃないかなと」

——DJも大変なんですね……そんななか、TJOさんはどこを目指します?
TJO:「僕はやはり音楽を発信したいという思いに変わりはないので、基本的にはキュレーション力と自分がメディアになっていけるよう高めていきたいですね。曲もこれまで以上に作ろうとは思っています(笑)」

進化するEDM、そもそもの形と今旬のサウンド とは?

——先ほど話に挙がった“EDM”ですが、ひと段落と言いつつもまだまだ人気がありますし、常に進化というか、変化していますよね。
TJO:「僕の中でEDMはあくまでElectronic Dance Music(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)であり、今は本当にその名の通りになったという感じがします。ハウスやテクノという、いわば“4つ打ち”と呼ばれるものの要素も含め、あらゆるサウンドが取り込まれて煮尽くされたというか(笑)。今は“EDMっぽい要素”があればいいんじゃないかと思いますし、それだけにあらゆるものが“EDM”にカテゴライズされ、これまで以上に形のないものになっている。でも、そこにはメリットもあって。以前はフェスティバル・ライクな勢いのある曲をかければ盛り上がるという至極簡単な、ある意味ではイージーなことができたんです。逆に、ちょっと落ち着いた時間を作るとフロアのテンションも落ち込んでいたんですけど、今はいろいろな曲をかけてよくなった気がします。お客さんの音楽を聴く耳が広がっている、余裕ができているのかなと。ただ、フェスティバルに関しては別ですけどね」

——EDMのそもそもの形、本来はどんなものだったと思います?
TJO:「わかりやすく言ってしまえば、David Guetta(デヴィッド・ゲッタ)が4つ打ち、エレクトロにR&Bシンガーをフィーチャーしたのが起源のひとつだと思うんですけど、要するにヨーロッパのDJがアメリカのシンガーやラッパーをフィーチャーしたのが当初のEDMだと思います。ポップフィールドの頂点に立つ人たちがダンスミュージックの要素を取り込み、より聴きやすいフォーマットになったのが拡大を助長したんでしょうね。当時はそれが新鮮で、その波は世界中に広がりましたけど、それがもはや当たり前になり次に何をしようか、と模索しているのが今だと思います」

——EDMは様々なサブジャンルも生みだしました。それこそ、有名なところで言えばフューチャーハウスやフューチャーベース。数あるサブジャンルの中で、今旬のものって何でしょう?
TJO:「サブジャンルではないですけど、今旬なのはテックハウス、ハウスですね。海外のチャートや流れ、トップアーティストのセットリストを見ていてもそれは感じます。代表的な楽曲としては、Fisher(フィッシャー)の“Losing It”が真っ先に挙がりますが、この曲は今年のグラミー賞にノミネートされていますからね。とても象徴的なことだと思います。ハウスはお客さんが求めているものとDJがしたいことの一番フィットする中間値点ではなんでしょうね」

ハウスとフューチャーハウス、フューチャーベース

——TJOさんが考えるハウスと、フューチャーハウスは何が違うんでしょう?
TJO:「フューチャーハウスは、もともとEDMとディープハウスの中間ぐらいのニュアンスでしたけど、今は少し独特になっていますよね。ドロップや構成などが違うと思いますが、その判別はなかなか難しい(笑)。ただ、今日本でウケているのは、EDMの音圧でEDMの展開を持ったポップなハウスという気がします」

——それはアーティストで言うと?
TJO:ZEDD(ゼッド)やJonas Blue(ジョナス・ブルー)とかですかね。ポップなテイストが重要です」

——では、フューチャーベースとは?
TJO:「フューチャーベースは僕も好きなんですけど、今すごく大変なんじゃないかって気がします。ある程度やり尽くした感があるので。代表格であるMarshmello(マシュメロ)がヒップホップのトラックを発表したりするのはそういうことなのかなと。フューチャーベースの特徴であるエモさ、トラップから変形したビートがシーンの広がり的にも限界に近づいている感がありますね。まぁ、フューチャーベースもわかり辛いですよね、定義するのは難しい(笑)」

——“フューチャー”と付くとちょっとややこしい(笑)。
TJO:「いろいろ変化していますよね。でも、それは自然なことだと思います。ただ、最近はテクノでもハウスでもEDMでもない、そういうところを狙っている楽曲も多い気がします」

——その他にもトロピカルハウスなどもありますよね。
TJO:「それはKYGO(カイゴ)の名前が真っ先に挙がると思いますが、彼も今はちょっと以前とは違ったりする。ジャンルとして言葉は生き残りますけど、アーティストが常にそこにいるかと言えば、それは違うんですよね。そこがまたややこしいところ(笑)」

——では、トラップは?
TJO:「相変わらず人気があると思います。ただ、最近面白いなと思ったことがあって」

——それは?
TJO:「いわゆるトラップ・リミックスとなったときに、超ド派手にする方向性と音圧だけ上げるもの、その2種類があって、後者の方がアメリカではウケていたりするんです。Dillon Francis(ディロン・フランシス)とSkrillex(スクリレックス)のリミックスが象徴的で、1つがCardi B(カーディ・B)“I Like It”のディロン・フランシス・リミックス。もう1つがTravis Scott(トラヴィス・スコット)“Sicko Mode”のスクリレックス・リミックス。どちらもほとんど原曲と変わらず、音圧や音質が彼らのものになっているだけですごくシンプルなんです。それはつまり、特にアメリカではヒップホップが主流になってきていて、派手にするとプレイされる場所が限定されてしまう。なるべく様々なところでかけてもらうためにそうなってきているのかなって僕は思っていて。この手法が主流になるかはわかりませんが、そういったモードは感じますね」

ZEDDにThe Chainsmokers、Martin Garrixの今

「EDMはElectronic Dance Music(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)であり、今は本当にその名の通りになった」と語るTJO

——話を戻しますが、今EDMというカテゴリーの中で日本で人気なのは、ゼッドとか?
TJO:「彼はEDMでもポップスの部類ですね」

——では、The Chainsmokers(ザ・チェインスモーカーズ)は?
TJO:「ポップですね。ただ、彼らの場合はルーツにある2000年代のロックやコア・パンクなどの要素が見られるのが他のアーティストとの違いだと思います」

——EDMの代表格とも言えるMartin Garrix(マーティン・ギャリックス)はどうでしょう?
TJO:「いい意味でEDMの継承者だと思います。変化するシーンの中でも自分の音楽を追求し、継続しているのはスゴイ。フロアをめがけながらも流行もしっかり取り入れている、それを今実践しているのはマーティン・ギャリックスぐらいなのかなと」

——個人的には、昨年日本で見た海外アーティストの中でArmin van Buuren(アーミン・ヴァン・ブーレン)が一番素晴らしかったと思うのですが。
TJO:「あの人は本当にスゴイと思います。彼の場合、僕の中ではEDM、トランスではなく、もはやアーミン・ヴァン・ブーレンなんですよ。あそこまでやりきれるのは、彼以外だとAfrojack(アフロジャック)とかですかね。真似しようとしても簡単にはできない、オリジナルのスタイルを持っていると思います」

今鉄板で盛り上がるのはMarshmello?Jonas Blue?

——ちなみに、今一番盛り上がる曲って何でしょう?
TJO:「難しいですね……。自分がかける、かけないは別として、全てのバランスが一番フィットしているのは、いろいろな部分を加味するとマシュメロですかね……。デヴィッド・ゲッタやゼットという感じでもないし。あとは、メジャーポップのカバーはやっぱり人気ですし、もちろんハウスも盛り上がります。ジョナス・ブルーの日本での浸透具合もスゴイと思いますね」

——2017年ブレイクしたAlan Walker(アラン・ウォーカー)などは?
TJO:「“Faded”以降、そこまでヒットしていない感じがします。一方、ジョナス・ブルーはコンスタントにヒットしていますよね。あとは、Don Diablo(ドン・ディアブロ)も強いですね。なんだかんだ曲を知らなくても盛り上がりますし、ハウスっぽくてベタなEDMでもない」

——最近の日本のフロアで何か感じることはありますか?
TJO:「以前に比べると集中力のようなものがなくなった気がします。それはDJとして言い換えると、ジャンル感を含め、飽きさせないように何かしなくてはならないということなんですけど」

——そういう意味では、今世界のトップアーティストも1曲ずつプレイするのではなく、複数の曲をかけ合わせるマッシュアップが主流です。早い展開の中でキラーコンテンツをたくさん入れていくような。
TJO:「そうですね。展開は重要視されています。例えば、4つ打ちからBPMの遅い曲をかけるにしても、最近では繋がずに一度音を切って繋げることもありますし。お客さんもそういった展開を楽しんでいる感じがします。あとは、お客さんが求める答えがひとつではなくなったということもありますね」

——それはどういったことでしょう?
TJO:「近年、日本のダンスミュージックシーンでもフェスが台頭し、楽しむ場所が増えましたよね。そして、その影響でクラブも変化してきていると思うんです。最近では4つ打ちをかけるとDJブースの前に来て楽しむ人たちがいて、その次にヒップホップをかけると最前列のお客さんが入れ替わる、そういった光景はある意味クラブらしいのかなって思うんです。パーティーの中でもいろいろな循環があって、踊ること以外にもお酒や会話を楽しんだりしている、すごく自由な空間ができているかなって気がします」

TJOが2019年注目するアーティストはバイレファンキ系!?

——2019年期待している、もしくは注目のアーティストは?
TJO:「個人的にはPaul Mond(ポール・モンド)ですね。彼はバイレファンキをR&Bやフューチャーベースに落とし込むのがすごくウマい」

——バイレファンキと言えば、ブラジル産のとにかくファンキーなサウンドですよね。これも今流行しているのでしょうか?
TJO:「ここ数年、キテますね。うまくいろいろなところに溶け込んでいる気がします。かつてはDiplo(ディプロ)なんかもやっていましたけど、その流れとはまた違うもの。R&Bなどに取り入れることが増えたんですよね。その一環でもあるんですが、ポール・モンドはバイレファンキ的でありながらメロウで、やさしいベースミュージックのような感があって、そこで今面白いことが起きているのかなって気がするんです。個人的にはそれがもう少し広がっていくのかなと。あとは、Billie Eilish(ビリー・アイリッシュ)のようなポップなんだけどサブベースが異常に鳴っているものやjoji(ジョージ)みたいなヒップホップ・マナーの歌モノがさらに増えていくのかなと」

——2019年の展望を教えてください。
TJO:「2018年にリミックスの仕事をいただいて、そのときはやっぱりDJなのでフロアを意識して完結できたんですが、本気で曲を作るならフロアを意識せずに、好きな曲を作りたいと思っています。いうなれば、聴くものと踊るものをすみわけてもいいのかなと。僕自身、家で聴く好きな音楽と現場で仕事としてかける音楽は違いますし、どちらも意識すべきだとは思うんですが、せめて作る曲は本当に自分が好きなものを作る、それが健全なのかなと思うんです。そして、その方が聴き手も入ってくるんじゃないのかなとも。誰かの二番煎じのような曲を作るなら、そのオリジナルをかければいいし、オリジナルには絶対勝てないんですよ。そういったことが大事なのかなと思っています」

初めてクラブへ行く人へ…TJOからのアドバイス

もともとは国内のNu Jazz / Crossoverシーンを中心に活躍していたTJO

——最後に初めてクラブに行く、という人へのアドバイスをもらえますか。
TJO:「怖がらないでほしいですね。クラブは音楽が好きな人同士が集まっている場所なので、自分と趣味が同じ人たちとぜひ交流してほしいです。難しいかもしれませんが積極的に声をかけることで世界が広がると思います。能動的に居心地がいい場所にしていくのも大事だと思います。好きな曲でみんなで楽しく、盛り上がって、いい思い出を作ってください。必ず共感できる、共有できるものがあると思います」

Photo:TJO Facebook

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