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もっと知りたいジャンルのこと【テクノ編】 〜Q'HEYにインタビュー!〜

DJ・アーティストに聞くジャンル解説。EDMに続いては“テクノ”をピックアップ。

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日本のテクノシーンを牽引するQ’HEYにインタビュー!

日本のテクノシーンを牽引するQ'HEYにインタビュー!

2018年には、自身がオーガナイズする東京最長寿テクノパーティー「REBOOT」が20周年を迎え、新たなタームへと移行。そして、彼が今なお愛すべき日本テクノシーンのメッカMANIAC LOVEが誕生から25周年。昨年末にはアニバーサリーパーティーが開催され、世代を越えテクノファンが大熱狂。

そんな、ある種節目となる2018年を駆け抜けたQ’HEYの目に映る現在進行形のテクノとは? さらにはテクノの魅力、そしてEDMのムーブメントを経て、新たな時代を迎えるテクノについてインタビュー! 彼だからこそ語りうる貴重な話は必見!

ただその前に……まずは日本のテクノを語る上で欠かせない、そのMANIAC LOVEの話から……。

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今では再現不能な熱狂…伝説の場所MANIAC LOVE

—MANIAC LOVEは日本のテクノの聖地を呼ばれていますが、そこからテクノが始まった感はありますか?
Q’HEY:「テクノというよりは、テクノシーンと呼ばれるものかな。MANIAC LOVEができたのは1993年、その前からテクノと呼ばれるものはあったし、テクノのパーティーもあったからね。ただ、マーケットとして拡大した背景にはMANIAC LOVEの存在は大きかったと思います。あとはタイミングも」

—タイミングとは?
Q’HEY:「世界的なダンスミュージックの流れだったり、MANIAC LOVEのオープン後に日本でも野外フェスでテクノが重宝され、メディアでピックアップされたり。その中でMANIAC LOVEはかなりアンダーグラウンドな営業スタイルを貫いていて、そう簡単には行くことができない場所だった。看板もなくて、どこにあるかもわからない、それに今思えば中に入るとメチャクチャ狭い(笑)。当時はそれが普通だったんだけどね。今振り返ると、あそこが聖地なのかって感じだけど、あの熱量は今の時代では再現できないと思う。それこそ、僕自身DJをやっていて、毎回ものスゴいプレッシャーがあったし、ある意味修行(笑)。あらゆるものが混沌としていて、本当にスペシャルなものだったんですよ。海外から来ていたゲストも含め、あの場を体験した全ての人にとって、MANIAC LOVEは本当に特別な場所だったと思いますね」

歴史は繰り返す…在りし日ののテクノが再燃

—当時から考えるとテクノも大きく変化・進化していると思いますが、一番の違いは?
Q’HEY:「音楽全般に言えることですが、必ず“流行”があって、それは巡り巡るんですよ。たかだか数十年のテクノの歴史の中でもそれは起こっている。25年前は音数が多くてBPMも早かった。でも、数年前は音数が少なくミニマルでBPMも遅くなった。そんな時代の変化を見てきた僕らも年齢を重ね、もう一度BPMが早くなることは到底ないだろうなって思っていたら、今はまた戻ってるんです。ヨーロッパ先行でBPMはまた早くなってきていて、しかもそれがまたかっこいい。そのスタイルが徐々に日本にも浸透してきたかなって感じはありますね」

—流行はやはり巡り巡っていたと。
Q’HEY:「そう、音数も増えてきましたしね。でも、そんななかで決定的に違うものと言えば、録音技術。いわゆるマスタリングの技術がよりイージーになったこと。テクノだけでなく、ロックの世界もどんどんラウドな方向に進んで、音圧勝負になっているんですよね。特にダンスミュージックの世界では、スピーカーから放たれるボディソニックにオーディエンスは踊らされるところがあるから、そこはすごく重要視されてますよね。作り手の話になってしまいますが、曲の良さは結局マスタリングによるんですよ。フォーマットや媒体の違い以上にそれをいかにやっているかが勝負。僕自身、音源を選ぶ際にはいい曲というのが基準だけど、それ以上に音圧がいいもの、しっかりマスタリングされたものを選びますし。マスタリングさえよければいいと言うと語弊があるけど、それ次第で楽曲の良し悪しが決まる部分は確実にある。今からプロデューサー・アーティストを目指す人はそのあたりは意識して取り組んでほしいですね」

テクノとの出会い…Q’HEYにとってのテクノとは!?

テクノとの出会い…Q'HEYにとってのテクノとは!?

—そもそもQ’HEYさんがテクノと出会ったきっかけは?
Q’HEY:「僕はもともとロックのDJだったんだけど、Nirvana(ニルヴァーナ)以降のグランジが商業化していったときに、それはもはやロックじゃないと思ったんですよね。それで、自分にとってのロックを探したときに、リズムマシンが鳴らすブッといキックやシンセのノイズがロックだと感じて、ロックのつもりでテクノに入っていったって感じです。あとは、僕にとってロックはリアルな音楽で、自分で再生、それこそ演奏できるものなんですよ。ロックがギター1本でできるようにね。豪華なスタジオで録音するんじゃなく、ざらついた感じのロックはすごく身近で、それがリアルだった。当時はYMOとかもすごく好きだったんですが、彼らの音楽は莫大な費用がかかるし、僕がやれる音楽じゃなかったんです。でも、テクノは“ベッドルームミュージック”って言葉もあるように、自分の家で機材を揃えれば作れる時代になっていた。1人でできるテクノが僕にとってすごくリアルだったんですよね」

—テクノを知らない人に向けて、説明するとしたら何と言えばいいでしょう?
Q’HEY:「マジメな話をすれば、マシンビートを強調し、メロディやボーカルを極力排したストイックなエレクトロミュージック。ただ、テクノの発祥と言われるデトロイトテクノなんかは、16ビートのシーケンスでストリングスやハット系を多用していたり、いろいろな定義というか特徴があるけど……やっぱり言葉で定義付けするのは難しい。何より、テクノほどいろいろな表情を持ったダンスミュージックは他にないと思うし」

—いろいろな表情というのは?
Q’HEY:「テクノに近いところではハウスやトランスがあると思いますが、全てのダンスミュージックがテクノ足りうるというか……。逆に言うと、ハウスにもなりうるんだけど、あらゆる音楽を内包してしまうのがテクノだと思う。実際、以前からハウスをはじめ、トランスやEDMのアーティストがテクノ的なアプローチをとろうとしている傾向がある。世界的に見れば、EDMがややトーンダウンしてきている今、次の音と言えばやっぱりハウスであり、テクノになるんだと思う。そして、テックハウスという言葉があるぐらいハウスとテクノは接近してる。そういった中で、様々な表情を持つテクノは本質的には自由だから定義するのが難しい。ただ、ルールはあって、キックと裏のハットがあったり。そういった前提をふまえた上で、いかに遊ぶことができるか……それがまたテクノの面白いところですよね」

今最も旬なテクノと言えば…

—では、テクノと聞いてQ’HEYさんが真っ先に思い浮かべるアーティストや曲は?
Q’HEY:「それは一番おいしいラーメン屋はどこ?って聞かれているのと同じかな(笑)。ジャンルによって違うし、みんなの趣味・趣向、好き嫌いもあるから選ぶのが難しい。ただ、今のヨーロッパのテクノシーンでは1つの大きな勢力があって、それはAdam Beyer(アダム・ベイヤー)のDRUMCODE(ドラムコード)。今、向こうのテクノフォロワー、DJは大きく3つに分かれていると思うんです。DRUMCODEシンパかアンチDRUMCODE、これが二大勢力で、もうひとつがどちらでもない人たち。ベルリンテクノ系、Berghain系と呼ばれる人たちもいるけど、ヨーロッパ全体で見ればDRUMCODEが圧倒的多数ですね」

drumcodeofficialをチェック

—DRUMCODEからはどんな作品がリリースされているんですか?
Q’HEY:「基本的に今のDRUMCODEのスタイルは激ハード。音数も増えたし、音圧もあって、ヘタしたら昔以上にパワフル。僕もDRUMCODEは好きですけど、そのセールスは何年も前からスゴくて、なかにはDRUMCODEだからって買う人もいるぐらい信頼されてますね」

Suara Musicをチェック

—DRUMCODEの対抗馬になるようなレーベルはないんですか?
Q’HEY:「対抗馬というか……僕はSUARAが好きですね。元々テックハウスのレーベルなんですが、今はそれこそDRUMCODE以上にハードな曲もリリースしていて。去年は、日本人女性のRisa Taniguchiがここからリリースして、その曲もスゴくかっこいいですよ。僕はDRUMCODEよりもこのSUARAとOctopus Recordingsの曲をよくかけるかも。あとは、毛色はちょっと違うけどTronicや老舗のSOMAも好き」

日本のテクノシーンの可能性は…

—ハードなスタイルはしばらく続きそうなんでしょうか?
Q’HEY:「ヨーロッパでは数年前から多くのDJがプレイしていてすごく盛り上がっているんだけど、向こうのオーディエンスは基本若いんですよね。一方で日本はというと、若い人たちはEDMのフェスに行ったり、バンドに向かったりしているのが現実。そんな中で新しいスタイル、ハードで早いテクノが日本で浸透するのかなって疑問視していた部分があったんですが、去年9月に「REBOOT」でハードなテクノDJとして認知されているベルギーのCharlotte de Witteをブッキングしてみたらすごく盛り上がったんですよ。僕は彼女の来日がある意味で今後の日本のテクノシーンのひとつの指標になるのかなって思っていて、フタを開けてみれば会場の渋谷Contactは入場制限。入るまで2時間待ちの状態になって。そうまでして彼女の音楽を聴きに来る人がいて、ちょっと驚いきましたね。しかも、客層を見ても常連さんだけじゃなく、若いお客さんもいて。あの光景を見てハードなテクノの可能性を感じたし、この流れは大切にしたい、自分がやってきたことがこれからも続けていけると思いました。今後もそういったラインナップ、ハードなテクノのプレゼンテーションをしていきたいと思ってます」

—日本でも根付いてく可能性があると。
Q’HEY:「そうですね。ただ、その一方でカウンターも絶対にあるはず。ここ数年のテクノはEDMのカウンターとしての一面もあったと思うんですよ。そう考えると派手なテクノではなく、シンプルなミニマルになっていくのが自然の流れで、それは各地で顕著にあって、ベルリンテクノのようなストイックなスタイルに向かっていたんだけど、それだけじゃなかったんですよね。ハードなテクノを求める人も確実に増えていて、今後は面白い展開になるのかなって感じてます。例えば、『ULTRA』にはResistanceがあり、特に海外ではアンダーグラウンドなテクノ・ハウスを求める人は数多く、日本にももちろんいるんだけど、そこでテクノの魅力を初めて感じて好きになる人もいるんですよね。実際、僕がResistanceでプレイした後にFacebookでメッセージをもらったことがあって、そこには『今回のULTRAの一番の収穫はあなたを知ったこと』とあって、それはすごく嬉しかった。だから、可能性はすごくあると思う。ハードが盛り上がったあとには、またミニマルな音響的なものが求められる時代がくるだろうけど、ひとつ言えるのは終わりはないということ。テクノはもうはや消滅するようなジャンルではないと思いますね」

—それは普遍的なものになったということ?
Q’HEY:「それ以上に、いろいろなところに息吹があるから、ハウスとテクノはなくならない。ロックと同じですよね。かつて、イギリスのJohn Lydon(ジョン・ライドン)が“ロックは死んだ”って言ったけど、結局死ななかったし(笑)。死んだと思われるような瞬間はあったかもしれないけど、終わりはない。テクノやハウスも。ただ、今のEDMはそれとはちょっと違った文脈、本質的には違う。ある種のムーブメントだから、同じようには扱えないと思います。EDMがこの後どうなるかは見てみたいし、テクノがどうなっていくのか、それは本当に楽しみですよね」

クラブ初心者に向け、Q’HEYからのメッセージ

クラブ初心者に向けQ'HEYからのメッセージ

—最後にこれからクラブに遊びに行く人にアドバイスをもらえますか。
Q’HEY:若い人は失敗することもたくさんあると思います。僕自身してきていますし(笑)。でも、まずは失敗を恐れずに思う存分楽しんでほしいですね。そこから勉強していけばいい。最初から優等生である必要はないんだけど、一般常識だけは別。これはクラブに限らず、自分たちが遊ぶ場所は自分たちで守っていく意識だけは持ってほしいですね。ゴミを散らかしたり、人に迷惑をかけない、これは常識。スマートで、クールに遊んでほしいです。あとは、クラブは夜の場所でもあるから、既存の遊園地とかとはまた違う。安全・安心だから怖がる必要はないんだけど、ある種のハードルはあるということは心得てきてほしいですね。そして、その中でいかにいい体験ができるか、自分自身でしっかりとマインドを持って楽しんでほしいです」

【Q’HEY】
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block.fm:毎週火曜23:00 – 24:00 「radio REBOOT」

↓↓Q’HEYの今後のパーティーはコチラ↓↓
5/24(金)REBOOT @ SOUND MUSEUM VISION(渋谷)
5/31(金)CHINA TOUR @ The Window(広州)
6/1(土)CHINA TOUR @ Celia(上海)
6/9(日)ロックの日 @ 頭バー(渋谷)
6/28(金)REBOOT @ SOUND MUSEUM VISION(渋谷)
7/12(金)REBOOT @ SOUND MUSEUM VISION(渋谷)
8/9(金)REBOOT @ SOUND MUSEUM VISION(渋谷)

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