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ダンスミュージックファン必見! TJOが話題の新曲のサンプリングネタを一挙紹介!

ダンスミュージックの発展に欠かせない“サンプリング”。
すでにある曲からフレーズや楽器音、声などの一部分を抽出し、新しい楽曲を生み出すその手法はヒップホップ、R&Bはもとよりハウス〜ドラムンベースなど様々なジャンルの進化を支え、一方で使われた曲が再評価されるなど音楽の過去と未来を繋いできた。

今年になっても、ここ数年のハウス回帰の流れを受けてサンプリングはより多用され、盛り上がりを見せている。そこで今回は2020年に入ってからリリースされたダンスミュージックを中心に話題となった曲のサンプリングネタを一挙に紹介!

話題の新曲のサンプリングネタをTJOがレクチャー!

【Boys Noize】

ここ最近で最も話題を集めたリリースと言えば、2000年代のエレクトロ時代から活躍するベテラン・プロデューサーBoys Noize(ボーイズ・ノイズ)がUK老舗ハウスレーベルから発表したこのディスコハウス。人気ファンクバンドBlack Ivory(ブラック・アイヴォリー)が1979年に発表した名曲“Mainline”をワンループ使用し、シンプルながら抑揚を付けた見事な展開の構成力でしっかりと踊れる作品に仕上げている。

“Mainline”自体サンプリング曲として人気で、多くのアーティストに重宝されているので他の使われ方と聴き比べてみるのも面白い。ボーイズ・ノイズは昨年のA$AP Rocky(エイサップ・ロッキー)“Babushka Boi”でも1996年のメンフィスのラップグループDa Crime Click(ダ・クライム・クリック)の“U Hoez Gone Get Kidnapped”をサンプリングしたりなどセンスのあるネタ使いが定評。

【Lady Gaga】

そのボーイズ・ノイズもプロデュースに参加したLady Gaga(レディー・ガガ)の最新アルバム「Chromatica」は、往年の彼女らしいダンスポップに回帰して話題を集めたが、90年代のハウス〜ダンスポップに大きな影響を受けて制作された作品だけあってその時代のサンプリングやオマージュを捧げた曲が多い。
先行シングル曲としてリリースされたAriana Grande(アリアナ・グランデ)との“Rain On Me”は70〜80年代に人気を博したソウル・クイーンGwen McCrae(グウェン・マックレイ)の“All This Love That I’m Giving”のベースラインを使用している。

ただ、90年代ハウスに影響を受けたアルバムなので、厳密にはその曲をサンプリングして大ヒットを記録した1999年のフランスのデュオCassius(カシアス)のディスコハウス名曲“Feeling For You”からインスピレーションを得たと言えるだろう。

レディー・ガガは他にもアルバム曲“Replay”でDiana Ross(ダイアナ・ロス)の1979年の“It’s My House”で彼女のコーラスをループさせ、Daft Punk(ダフト・パンク)を筆頭に90年代に世界を席巻したフレンチ・ハウスへオマージュを捧げている。

なお、彼女のアルバム制作支えたダンス系プロデューサーを紹介した記事も合わせて読んでアルバムの世界観をさらに楽しんで欲しい。

▽あわせて読みたい!“豪華ダンスミュージックプロデューサーが集結…Lady Gagaの新作がヤバイ!”の記事はコチラ

【Tchami】

レディー・ガガのアルバムの楽曲に数多く参加し、重要なポジションを占めたフランス出身でDJ Snake(DJスネイク)の盟友とも言われるTchami(チャミ)。
彼は新作「Buenos Aires」でトークボックスの名ファンクバンドZappの1983年の大ヒット曲“Heartbreaker”をモロ使い。ガガのアルバム制作を経てインスピレーションを得たからなのか、フューチャーハウスの旗手と知られるサウンドとは違ったディスコ感溢れる1曲となっているし、昨今のディスコ回帰にもちゃんと目配せした作風になっていて、彼のプロデューサー能力の鋭さを表していると思う。

意外と知られていないがチャミは“Adieu”で80年代のハウスクラシック、“Rainforest”で70年代のジャズ・ファンク・バンドThe Blackbyrds(ザ・ブラックバーズ)をネタに使うなどサンプリングのセンスも抜群だ。

【Love Regenerator (Calvin Harris)】

今年に入って突如として90年代レイヴ・ミュージックに影響を受けた新プロジェクトLove Regenerator(ラヴ・リジェネレイター)を始動させたCalvin Harris(カルヴィン・ハリス)。
この名義ですでに4枚のEPをリリースするほど勢力的な活動を行なっているが、このプロジェクトも90年代アシッドハウス〜テクノのリバイバルに大きな影響を受けているので、その楽曲のほとんどでサンプリングが多用されているのが面白い。

いくつか例を挙げると、人気テックハウス・プロデューサーEli Brown(エリ・ブラウン)を迎えた“Moving”では1992年のFargettaによるイタリアンハウスを。

さらに“The Power of Love II”ではタイトルものそのままに、日本人プロデューサーTOWA TEIが在籍していた事でも知られる世界的グループDeee-Lite(ディーライト)のヒット曲のヴォーカルをそのままネタにしている。

実際、昨今の90’sレイヴ・リバイバルには当時の楽曲サンプリングが欠かせない要素となっており、ダンスミュージックのルーツが世代を超えて引き継がれている。

【Diplo】

ダンスミュージックのみならずヒップホップ、さらにポップシーンにおいても重要な存在となったDiplo(ディプロ)はDJとしての感覚と、プロデューサーとしてのビジョンがしっかりと結びついた1人だ。

昨年からハウス回帰とリンクするようにMad Decentに続く新たなレーベルHigher Groundを立ち上げた。これは完全なハウスレーベルで自分の楽曲はもちろん、世界中の優れた才能を発掘してくるなどディプロらしい新たな活動の基盤となっている。

Wax Motif(ワックス・モチーフ)と組んだ“Love to the World”では1976年の名ディスコナンバーをそのままネタ使い。昨年末にリリースされ、未だに現場でも人気の“On My Mind”ではUKの人気R&Bグループ702が1996年に発表した“Steelo feat. Missy Elliott”を引っ張り出すなど、より広いシーンから支持を集める彼らしいセレクトになっている。

ディプロはここ数年すっかりハウス・モード。新レーベル立ち上げ時も「ハウスはすべてのはじまりだ」というほど推していて、昨年の「EDC JAPAN」のアフターパーティーで共演したのだが、その時も最後の数曲を除いて全てハウスセットだったのを今でもよく覚えている。イギリスの国営ラジオBBC Radio1で「Diplo & Friends」なる番組を持っているのだが、一ヶ月に一度ディプロが担当する日も完全にハウスセット。ただ、世界中のシーンやジャンル感、さらには良い意味での商売っ気も知り尽くした男なので、アンダーグランドからポップス〜最新モードからクラシックまで本当に幅広い選曲で飽きさせないのはやはりDJの実力。

【Disclosure】

今年最もアルバムが期待されているUKの人気兄弟ユニットDisclosure(ディスクロージャー)も、2018年以降出すシングルはほぼ全ての楽曲がネタ使い。レディー・ガガの時にも紹介したグウェン・マックレイの名曲ネタ“Funky Sensation”に始まり、80’sディスコ、ゴスペル、オールディーズ、アフリカンミュージックなどおよそ20代とは思えない深い音楽造詣から選ばれるチョイスも毎回ユニークだ。

なかでも今年リリースされた“Expressing What Matters”は1976年のAORクラシックBoz Scaggs(ボズ・スキャッグス)“Lowdown”をネタに使い、シーンを驚かせた。また、“Get Close”という曲ではなんとSnoop Dogg(スヌープ・ドッグ)のYouTubeでの喋りを使っているのだから、その発想の自由さはまさにネクストジェネレーション。

今までの流れだとシングル単位ではダンスミュージック、アルバムが出ると有名アーティストとコラボし、歌モノをしっかり入れてバランスを取ってくるイメージがあったが、夏にリリース予定のアルバムはここ最近のダンスチューンもしっかり入った踊れる内容になるみたいで今から楽しみにしている。

【Maurice West】

オランダ出身で10代から活躍し、Spinnin’ RecやArmada、W&WのレーベルMainstage Music、KSHMR(カシミア)のDharmaなど数々の人気レーベルからリリースを重ねてきたMaurice West(モーリス・ウェスト)は、最近では自身のレーベルを立ち上げ積極的にリリース。

なかでも最近発表された“Boogie Machine”は1976年のEarth, Wind & Fire(アース・ウィンド・アンド・ファイアー)名曲“Getaway”を大胆にサンプリングし、原曲のファンクネスと現代的なアップリフティングなグルーヴを見事に融合させている。

過去にはGloria Gaynor(グロリア・ゲイナー)“I Will Survive”も自分のセット用にブートレッグ・リミックスを作るなどダンスクラシックもしっかり取り込んだ幅の広い音楽性を見せている。

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音楽ルーツの過去とアップデートさせた未来、そのサンプリングの繋がりを知ることで何倍にも音楽を楽しむことができる。またこういった面白いサンプリングネタのリリースが続いたらどんどん紹介していくのでお楽しみに!

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